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Gontaのブログ

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腕時計・禁断の選択  妖怪マネマネ

先日<santo joannes 5004-02、自動巻き3針製>という腕時計を購入。
オークションを初めて利用して6000円で落札。

これはマネマネ時計である。
だが、着けてみて、セイコー5のワビサビ系デザインにちょっと飽きた人が
機械時計を楽しみたいならこの系統を選ぶのも、限定的環境でならありだなと思った。


santo joannes ex1.jpg



explore1.jpg

*下が「本家」エクスプローラー1


santo joannesには ETAのムーブメントを乗せた製品もある。
何より実質価格の10倍の「メーカー希望価格」をつけてないところがよい。(笑)

この時計に惹かれた一番の理由はまず6000円という価格。
次にムーブメントがこの手によくある中国製ではなく、日本製だということである。(組立ては中国)
この判断は正しかった。買い物の下手な我ながら、鼻が利いた方だろう。

このムーブメント(以下、略してムーブ)は調べてみたところ、miyota(ミヨタはシチズンの子会社) cal.8215 というもので
ドイツのAeromatic (Tauchmeisterを含む)や、Charles Hubert, Festina,
Camel, Gruen, Invicta、といったメーカーにも提供されている汎用ムーブである。
この実績を見て、ムーブにとりあえずの信頼は置けた。

ところが、とりあえずの信頼・・どころか、着けていると予想より遥かに質感がいいので驚いた。seiko5の上を行く。
腕を動かしたとき、ネジの巻かれる感触(感じる時計は少ない)が実に良好。
油が行き渡っているという感じなのだ。
「マネマネの分際で・・!」
というのが正直な感想だったが、よく考えればスゴイのはデザインではなく、ムーブである。

ミヨタ、あなどれず・・!!
ミヨタに注目せよ!!
を強く主張しておきたい。

こんなに高品質低価格のムーブを作る会社の親会社であるシチズンが、機械式時計をシチズンブランドでは生産していないという現実は
不思議だ・・というより、宝の持ち腐れ、と言えよう。


(余談を少々。* Aeromaticはカチッとしたドイツらしいデザインの安くて質の高い時計を生産していて、僕的にはオススメのメーカー。
かなりカッコイイと思う。ムーブはmiyota、ETA、自社製ムーブ、とあちこちからいろいろ採用しているが、それだけ品質と価格のバランスに気を配っている証だと見た。
いい会社とはこういう小回りの利く会社なのだと思う。
興味のある人はAeromaticで検索を。ちなみに楽天のショップでも扱っている。
またInvictaは日本に販売網がないので日本人には馴染みがないが、アメリカの庶民時計メーカーでありアメリカ人には一般的。
Amazon.com(英語サイト)でならワンサカと売っているからこちらも興味のある人は探索をされたらよいと思う。
Invictaを日本で入手するには今のところ個人輸入に頼るしかないのが現状。)

話を戻す。
miyota 8215は機械式ムーブとしてはおそらく最も安い部類に属するものである。
しかし、それが世界に広く分布している現状から判断すれば、それほど悪いものであるはずがない。
http://www.ofrei.com/page625.html
では裸の同ムーブを37ドルで売っている。
それを考えると一応製品まで出来上がっているものが6000円なら安いと思ったわけだ。

では、時計の周辺部分はどうかというと、これも良いのである!
ブレスの素材はステンレス・ソリッド(無垢)で、コマをつなぐピンは、なんとスクリュー式である。
つまり精密ドライバーでコマを外して長さ調整をするタイプであり、これはロレックスと同じ方式だ。
こういうところはマネをして良いと思う。
この価格帯の物だと良くてもピンには「割りピン式」が使われることが多い。
seiko5の場合、その割りピン式よりさらに安価な、コマとコマをつなぐ板を千枚通しか何かで外すタイプ(何と呼ぶのかは知らない)
であり、ブレスの素材には間違っても無垢素材は使われない。
ブレスレットに関しては、seiko5の完敗である。(ペラペラ、カチャカチャな方がむしろ良いという気分の日もあるがここは客観的にいく)

また、竜頭には手巻き機能もついている。(ハック機能=秒針停止機能 は、ない)
久しぶりに自動巻き時計を使う時その時計は止まっている・・という人の場合、手巻き機能はとても重宝する。
seiko5には、レディースを除いて、この機能がない。seiko5の負け。

さらに、こちらのマネマネ時計は、ねじ込み竜頭(ねじ込み竜頭!)で20気圧防水である。
もっとも、seiko5同様、日常生活防水とみなして使うつもりなので個人的にはあまりメリットではない。

さて、問題はデザインである。
見やすくてシンプルで良いデザインだと思う。
しか~し!
冒頭にも書いた通り、これは他社のデザインを盗用している。(↑写真参照)
わかる人は一瞥すればわかると思うが、このデザインは Rolex社 の Explorer 1(ref.114270)、そのものだ。
「偶然似ちゃいましたぁ~!」とは言わせない。
ここまで似せてもいいのか!と叫びたくなるほどである。
ムーブには日付け機能があるのに、わざわざそれを見えなくするのはEX1に似せるのが目的としか思えない。
この知的所有権を意識しない姿勢がある限り、メーカーの成長に低い限界がある事は明白なのだが・・。
せっかく質の良い物を安く提供できているだけにこの「パクリ姿勢」だけがなんとも残念。
もったいない。

ただのマネマネを作りたいだけなら、ブレスレットをあそこまで凝る必要もないだろうし、もっと安い中国製ムーブを乗っけておけばよかったはずだ。
にもかかわらず、<デザインさえオリジナルにすれば本当に優れたメーカーと言える>ところまで作り上げておいてから、
わざわざマネマネ時計にして「格」を落とそうとするセンスには首を傾げてしまうわけである。

この一点においてseiko5に取ってきたアドバンテージは全部崩れ去り、総合点でseiko5が勝ってしまう・・というのが僕の採点だ。

この手の中国系新興時計メーカー(メーカーというより、組織といったほうが正確かもしれない。実態は結局よくわからない。)は
とにかく平気で他社のデザインをパクリまくる。
他社のデザインをパクってきたのは、既に有名なメーカーに成長した会社も持ってる負の実績だし、欧米にだって存在する。
この新興メーカー(組織?)群も、いつの日か、ある程度資金をためたらそんな会社のように、
知的所有権を意識した運営体制に変貌しているだろうか?
そんなモラリティがあるならとっくにパクリ路線をやめていていいはずのメーカー、もしくわ組織がいくつかあるが、今日でもそうはなっていない。
そこを考えるとやはり、稼ぐだけ稼いだらドロン~か? の疑念が満ちてくる。

さて、せっかく買ったそのsanto joannesだが、なるべくプライベートな空間で(袖の中とか・・(笑))密かにmiyota ムーブの質感を楽しむつもりである。
そうすると袖の下から妖怪マネマネのうめき声が聞こえてくるだろう。
『早く、本物になりた~い・・・。』 と。

変なストレスが溜まりそうだ。


追記
1・ミヨタ8215とETAの汎用ムーブであるETA 2824-2の比較をした外国(英語)のページ。

http://www.17jewel.com/two.html

2・御存知ない人のために・・ETA(エテアと読むのか?)社とは、老舗時計メーカーOmega ,Tag-Heuer,Rado, IWC, Longine,Breitling,Panaraiや
ブランドメーカーのBvlgari,Cartier,Hermes,Gucci,などにムーブを提供している世界最強の機械時計ムーブメントメーカーであり
この会社なかりせばスイス時計産業界は壊滅を免れない、という存在である。
ちなみにSwatchはこの会社が生産している。
そしてETA 2824-2は上記メーカー群の日付け機能付き3針時計に、だだっ広く使われているムーブメントである。)


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